日本の技能実習を終えてベトナムへ帰る人達へ

 ”技能実習”で日本へ行くベトナムの人は多くなってきましたが、一定期間の技能実習期間が終わるとベトナムに帰国しますね。ベトナムへ帰ったらあらためて仕事を探す人が大半であると思います。仕事を探すにあたって、”技能実習" で日本で何を ”修得” したか?”修得” した事の ”棚卸” をしてから仕事探しに臨んで下さい。実習期間中にあなたが行った仕事、生活、勉強などを、”広く”、”柔らかく”、考えてみて下さい。「実習の前から準備していなかったから無理!! 」 って考えないでください。勿論準備をしてから実習や生活に臨めば良いですが、もう過ぎたことはどうやっても戻りませんから。自分のために今後を考えるしかないですね。外国(日本)で一定期間実習の仕事をして、生活をしてきたのですから何か得た事がある筈です。それをベトナムでの仕事にどう活かすかをよく考えてください。

  「広く、柔らかく」 と言いましたが、まず ”広く” ですが、”日本で生活したから日本語が出来る” と考えたら、その他の事を考えてみるのをやめてしまう人が少なくないですね。”日本で生活したから日本語が出来る” と考える人は、日本で技能実習をした人全員が考えます。仕事を探す時、そんなに ”日本語能力” の仕事の需要はありません。限られた需要は、”日本語を流暢に操る事が出来る” という人から埋まっていきます。”日本語能力” だけだったら、N1,N2クラスでないと不足です。N1,N2クラスでも ”日本語” しか得たものが無いというのなら人材として魅力はあまり高くないです。その他に修得したことや経験したことは無いでしょうか?技能実習へ行く前に仕事をしていた人、行く前と帰ってきた後の自分は、仕事に活かせる事の何かが変わったということは無いでしょうか?

  それから、”柔らかく” ということ、私は以前、技能実習から帰ってきた人の就職マッチングのイベントに参加したことがありました。意外だったのが、いろいろな会社の話を聞きにいかない人が少なくなかった事。「何故?」と聞いてみたところ、「自分が実習してきた ”技能” の仕事がある会社が無い」 と。まずいろいろな会社のブースを訪ねて聞いてみないとわからないですね。また、日本で実習の仕事での技能とピッタリ同じ仕事がある会社は限られてしまいますね。”技能実習”としての制度、日本もベトナムも、この点は問題点かも知れませんが、ピッタリのところがあまり無いのが現実ですね。雇用しようとする企業も必要とする ”技能” とピッタリの実習をしてきた人を雇用できれば良いですが、実務で実習してきた訳ですから、”技能” だけでは足りません。その”技能” を発揮して仕事をするため、”技能” を修得する時の ”基本”、仕事の準備や道具、作業場整備の ”基本”、 ”技能” を発揮して求められる ”質” を安定して産み出すための”基本”・・・。このような事を教わったり、訓練したり、または自分で工夫したりしてきたかと思います。あなたの能力に対するこれらの価値はどうですか?

  ”基本”という言葉が何回か出てきましたが、「子供ではないし、仕事の経験もある人に ”基本” なんて言わないで!!」 とは言わないでください。雇用する企業は、(私は日系企業が考える事しかわかりませんが・・・)その ”基本” を蔑ろにしない人材に魅力を感じます。雇用しようとしている企業にある仕事に必要な ”技能” と技能実習で実習してきた ”技能” と違っていても、その ”基本” を自ら修得した人ならば、これから必要とされる ”技能” を早く確実に修得して、安定した ”質” とともに仕事へ発揮してくれる人材と、企業は期待することが出来、採用したいと感じます。雇用しようとする企業は、”技能実習”でも、”職業訓練校” でも、すぐに企業の仕事にある ”技能” に対して修得した事をそのまま発揮できるのは少ないと覚悟しています。入社後にそこで必要とする ”技能” や仕事への能力を早く確実に修得して、求められる ”質” を安定して産み出すために、それをしっかり発揮してくれる可能性が高い人を求めます。

  それであれば、数年間だけの ”技能” の経験で、「私は上手いからこのままで大丈夫」 と思ってしまっている人より、経験した ”技能” が多少違っても、”基本” を蔑ろにしない人が魅力的です。帰国後、仕事を探すときに、もう一度自分が得てきたことについて”棚卸”をして、帰国後の仕事についていろいろ見聞きして(仕事のマッチングイベントのようなものに参加するチャンスがあればいろいろな会社の話を聞いてみて)、自分の事を ”柔らかく”、視野を広げて "広く" 考えて、仕事探しに臨んでください。

  まだ帰国するまで実習の期間の残りがある人は、今の実習での仕事や生活、勉強などを、前述した観点であらためて見てみて下さい。そして、帰国後の仕事探しの準備を考えてみて下さい。外国まで行って経験したことを、自分の国の将来の発展へ活かし、自分の人生を充実したものとするために。

  それから ”給与” の事、「日本で実習をしてきたから ”高い給与” は当然」 と考えないでください。短い視野で高い ”給与” を考えないでください。また人と比べないでください。また 「高い "給与" の仕事が見つかるまで仕事はしない」 と考えないでください(積極的に求職を続けている間は別ですが・・・)。まず、自分にとって ”いい仕事” を考えてみて下さい。”いい仕事” とは漠然としてわかり難いかも知れませんが、まず・・・、簡単ではないかも知れませんが・・・、”高い給与" を得るということを一旦外して考えてみて下さい。自分が修得したことを ”広く”、 ”柔らかく” いろいろな視点で考えてみて下さい。その整理ができたら、その次に、その仕事でより条件の良い ”給与” 得るためにはどうすれば良いか・・・自分には何があるか?何が足りないか?今後何を得る努力をするべきか・・・ を考えてみて下さい。これで簡単に ”いい仕事” 見つかる訳ではないかと思いますが、少なくとも帰国後の自分の仕事を考える、探す事に対する自分の視野が変わりますね。動きやすくなりますね。帰国後、より良いスタートが切れると感じます。

2019年2月24日