Long Bien 橋

2001年のLong Bien 橋の写真です。
 ハノイでは超有名な橋です。フランス統治時代に架けられた橋で、1908年開通とのことです。ベトナム戦争中に米軍の爆撃によって橋の途中何か所か落ちて、オリジナルと異なった形をしている部分があります。橋が開通して約65年後に爆撃で一部が破損し、その部分を突貫工事で直して、その後約50年が経過しています。よく架け替えの話が出ていますが、最近ではフランスが援助してオリジナルの形に架け替えるという話が出ていました。でも、橋の命名について揉めてダメになりました。フランスは 「命名権をフランスに」 と言い、ベトナムは 「"Long Bien” 以外の名前はダメ」 と主張して、最終的にベトナムが折れなかったということです。そう、ハノイ激動の100余年を見てきたこの橋の名前は簡単に変えたくないですね。それから "Long Bien" は地名でもありますので、このままの名にしたいのは十分理解できます。

 爆撃で橋が落ちた時、1~2日のうちに、隣に ”浮き橋” を架けて交通を再開したと聞きます。さすがです。最近この ”浮き橋” を目にする機会がありました。2010年頃であったかと思いますが、ハノイ市街北方の "Thang Long橋" 、1984年に旧ソ連の援助で造られ、第一タンロン工業団地のそばにある大きな橋ですが、この橋の路面改良工事を3~4ヶ月かけて行われたことがありました。主要幹線道路の一つ(まだ "Nhat Tan 橋” ができる前)であるため、朝晩大渋滞で、大人数が通勤するタンロン工業団地では従業員が始業までたどり着かないなんて事態になりました。その時、これを打開するための苦肉の策として、この橋の横に ”浮き橋” をかけて一時を凌いでいました。さすがに現在の ”浮き橋” は頑丈で、きちんとコーティングされた布やゴムなどの素材の "浮き" が使われているようでしたが、やはり軍が架けたそうです。ちゃんとトラックも渡っていました。(ぴょんぴょんとちょっと跳ねていましたが・・・)やはり、さすがです。

 "Long Bien 橋" に話を戻すと、この写真に見える道、ここは以前車道でした。車がすれ違えないくらいの幅です。橋の中央部には鉄道の線路があり、その向こう側に同じ幅の車道があります。つまり、線路を挟んで上り車道と下り車道が分かれていたわけです。でも、車1台分の幅、ここでよく車が故障したそうです。(何故か車はよく橋の上で故障しますね)そうすると、二進も三進もいかず・・・。この頃の国際空港は、今の "イオンモール" の近くにある" ザーラム空港" でした。今、街の中心のHoan Kiem 湖 から15分くらいの距離ですが、ここを4~5時間かかってたどり着いたなんて話もよくあったそうです。「橋の向こうの会社に通うと何かあると帰ってこられなくなるので嫌だ」 と、1990年代後半でも言っていた人たちがいましたが、なるほど、このせいですね。1984年に隣の "Chuong Duong 橋" ができて、 "Long Bien 橋" は歩行者と2輪車専用(一時は歩行者のみ)になりました。

 ちなみに "Chuong Duong 橋" は前述の "Thang Long 橋" とほぼ同じ頃にできました。ベトナム独力で架けた橋と説明されていますが、旧ソ連の援助で造った "Thang Long 橋" の資材を少しずつ少しずつ横流しして "Chuong Duong 橋" を架けたというのが周知の事実のようです。「ソ連は知らないうちに2つの橋を援助していた」 と。

(下の全景写真は2008年のものです。)


【 Long Bien 橋 は何故左側通行か? 】

  最後にひとつ。ベトナムは右側通行の国ですが、Long Bien 橋が左側通行ということをおっしゃっていた方がいました。そういわれてみるとそうですね。不思議ですね。

  ネット上を検索してみると、”橋とハノイ側の道との接続部分の方向のため” とあったのを見つけました。Google Earth で見てみると、そのとおり左側通行にならざるを得ない形状のようです。Google Earth から借用した画像に方向の矢印をつけました。このような流れであれば、Long Bien 橋上は左側通行になりますね。なぜこのような形状になったのかはわかりませんでした。

  Long Bien 橋をハノイ方向に渡ると Long Bien 駅 の駅舎の真ん前を通過して通りに下ります。Long Bien 駅は単線の途中駅のような配線の駅ですが、ハイフォン方向の始発駅です。機関車を前後に付け替える場所も線路もありませんので、一つ前の駅のGia Lam 駅で両側に機関車を付けた状態にして、Long Bien 駅で折り返しているようです。駅舎から線路向こう側、日本風に言うと”北口”は2つ目の写真のようになっており(Exitと表示されていますね)線路をまたいで渡って(踏切になっていません)ホームの方へ行きます。列車停車中は3つ目の写真のように機関車の真ん前を通ってホームに行きます・・・。ついでに4つ目の写真は反対向き、Long Bien橋の方向を見た写真です。

2018年11月01日