ハノイの電器屋さん

  どうでもいい話ですが・・・。電器屋さんと言えば、ハノイにも日本の家電量販店と同じような量販店ありますね。大体この10年の間に現れたものかと思います。以前はみんな家電を買う時は Hai Ba Trung 通りに行っていました。“東京の秋葉原みたいなところ” なんて言っていました。いまでも Hai Ba Trung 通り(の商工省の向かい側あたり)に電器屋さんが並んでいますが、以前より少なくなったようです。そう言えば、Hue通りの終点くらいの裏に行ったところの通称 “泥棒市場” でいいものを物色して買ってくるという人もいましたね。まぁ盗品か中古品しかないですねど・・・。私は10年前に行ったきりでその後は見ていないですが、今でも以前と同じくこの ”泥棒市場“ は存在していると聞きます。例えば車のパーツが盗まれたら、「午後には ”泥棒市場“ で買い戻すことが出来るよ」 なんてよく言われます。 余計な話になってしましました・・・。

  家電量販店ですが、不思議なところがいくつかありました。勿論、日本と同じような事が正しいということは無いのですが、気になったり・・・不便だったり・・・。私が住んでいるところの近くにあった大手の量販店(今は閉店してしまいました・・・。)は、とにかく店員の人数が多かった。ちゃんと数えてみたことがありましたが、その時は、広い店内に客が5人、店員が14人、それとメーカーはたはメーカー系販売会社や代理店から派遣された店員が4人いました。オーディオ製品があるところでは、店員の思い思いの音楽を少々大音響でかけて・・・、店員によっては口ずさみながら・・・。少なくとも、メーカーから店員を派遣させる必要はないですね。でも人件費はメーカー持ちだからそれは享受するとしても、それなら自分のところの店員は減らすべきで、いかにも “勿体ない” と心配してしまいます。人件費が安価だからできるのですね、って話は終わってしまうところですが・・・でも、安価でも無駄に人件費を費やす(余計な人員を置く)のではなく、その分の資金を売上を伸ばすことに使えばいいのに!!と、また心配してしまいます。タレントを呼んでイベントでもいいですし、更に値引きでもいいですし・・・、とにかく勿体ない!! その上、忙しくない店員は、私語やメールチェックに忙しく・・・。 「ベトナムのお客さんは店員サービスが悪いことを気にしないから・・・」 とベトナムの人は言いますが、外国に行ったことがある人は外国で経験した質の良いサービスの話をたくさんしています。だからサービスを気にしないのではない筈ですので、量販店は他に先んじてというつもりで、店員の勤務態度をもっと気にすれば集客にアップになる筈・・・。

  もうひとつ、これは悪い事ではないというか、仕方がない事かもしれませんが、でも面倒くさいことなんですが・・・。買う時、店員に ”注文票” のようなフォームに購入する品目、数量、値段を書いてもらいます。そしてそれを会計窓口に持っていき代金を払ってスタンプを押してもらいます。そしてスタンプが押されたその紙を持って品物受け渡しのカウンターへ行きます。裏から品物を持ってきてくれて、製品の入った化粧箱を開梱して中身を出して確認して、箱に戻して、袋に入れて、品物を受け取って・・・、帰ることができます。万引きや店員がお金の不正をすることを防ぐためには悪いことではないと思いますが、このプロセスの途中で何か買い忘れに気がついたら、また気が変わって別の物(例えばもっと高いもの)を買おうとしたら・・・ “もういいや” ってなってしまいますね。まぁいいんですけど、売るチャンスを逃しているかも知れませんね。

  そうそう、品物を受け取る前に、“製品の入った化粧箱を開梱して、中身を確認して、また箱に戻して・・・” というプロセス、これも悪い事ではなく、むしろベトナムでは必要なサービスかと思いますが、私にとっては残念です。うちに帰って新品の箱を自分で開けて買った品物を手にする時が “ワクワク” する時なのですが・・・。また家電製品の化粧箱の構造は無駄のない造りをされているので、製品を取り出してから綺麗に元の戻すのは容易ではありません。時々、入らなくなって、仕方がないので解体された箱と梱包材と製品を大きめのレジ袋にばらばらに入れて、とぼとぼと、帰らなくてはならない状況になってしまいます。開梱して中身を確認する事が要らない商品管理が望まれます。(流通の全行程でね。)

  それから、消耗品を売っていないですね。例えば、プリンター。インクジェットのインク、レーザープリンタのトナー、日本の量販店は、消耗品のコーナーを広くとって、たくさんの種類を売っていますね。実はあれが儲かるんですよね。ハノイの家電量販店では様々な機種のプリンタを売っていますが、インクやトナーは殆ど売ってなかったです。(過去形で言うのは、私の住まいの近くに複数あった量販店はみな閉店してしまい、最近家電量販店へ行ってませんので・・・)でもそれでは困るので、“どうすればいいの?”って聞いたら、インクを専門に扱っているお店を教えてくれました。(手書きで地図まで書いて教えてくれました。)私が教えてもらったところは Hang Gai 通りにある小さなお店でしたが、あらゆるインクやトナーを売っていて・・・。その店は小さくて、家族でやってるようでしたけど、羽振りが良さそうなうちでした。これも勿体ないですね。消耗品が儲かるのに・・・。

  でも、例えば6色に分かれているインクジェットプリンタの1色の値段が法定最低賃金の日給よりも高いくらいな値段なので、そう回転するものでなく、日本での状況とは違うのでしょうか?そういえば、数年前ですが、あるお店でインクジェットプリンタ用の怪しい外付けのインクのタンクを勧められた事がありました。勿論純正のものではなくてとっても怪しく・・・、6色のために内部が6室に分かれたプラスチック製のタンクで、各室からチューブが伸びて、当該のプリンタ用インクカートリッジの形状をしたカートリッジにそのチューブが繋がっています。そのカートリッジをプリンタにセットすると、6本のチューブが外に伸びた奇妙なプリンタになります。プリンタを作動させると6本のチューブが右に左にと往復します。勿論プリンタ上部のカバーは閉めることはできません。各色のインクは、弁当に付いている “醤油さし” を巨大化したようなプラスチック製のボトルに入って売られていて、値段を忘れましたが、勿論純正品よりかなり安価でした。うん、そうですね。6色のうちのひとつだけでも法定最低賃金の日給以上の値段になるのであれば、各色、減る都度、なんて買ってられませんね。それから全色のインクを2~3回交換すると、プリンタ本体の価格を超えてしまいます。それではベトナムの消費者は簡単に消耗してくれないでしょうから、家電量販店はインクなんか構っていられないのかも知れないですね。プリンタの購入者は、純正を使っても良し、外付けタンク用のプラボトルの安いインクを使っても良し、家電量販店は本体を売るところまでで、あとは知らないという事なのかも知れません。(何か学校に進路指導が無い話と似ていますね・・・。)因みに、私のまわりに外付けタンクを買った人がいましたが、しばらくは良かったけど、次にインクを補充する前にプリンタが壊れたそうです。 最近、日本のメーカーのインクジェットプリンタで、外付けではないものの大型タンクで、インクのみを補充するタイプの製品が出てきたようで、日本のTVのCMで見ました。段々インクジェットの時代でも無くなってきましたし、消費地もいろいろな国になっているでしょうから、プリンタメーカーも大変な時代になりましたね。

  Hai Ba Trung 通りには、少なくなっってきたとはいえ、昔からの家族経営の家電小売店はまだあります。おばちゃんと値段交渉をして買って、品物は夕方にお父ちゃんとお兄ちゃんがバイクで配達してくれて、据え付けまでやってくれます。配達や据え付けにはお金はとりません。昔々の日本もそうでした。家電のようなものだけでなく、食材や金物屋さんでも配達してくれて、素人が据え付けを出来ないようなものはそこまでやってくれましたね。何というか、今となっては実はとっても贅沢かも知れません。ハノイでは、もう減ってきているかも知れませんが、まだその贅沢が少し残っています。

2018年12月22日