ザーラム空港

  ハノイ中心地近くにある "ザーラム空港" です。

  今回の写真は、一つ目の写真以外はすべて拝借してきた写真です。一つ目はノイバイ空港から中部に向かうベトナム航空国内線の機上から撮ったもので、2018年です。2つ目はGoogle Earth から拝借しました。これらをご覧になると、「ザーラム空港」がどれだけハノイ市街から近いかおわかりいただけるかと思います。「ザーラム空港は今も運用されているのか?」と言われます。というより存在を知られていないことの方が多いですね。今も運用されています。軍の空港として、主に訓練に使われています。空港の端にヘリコプター輸送の会社があって、チャーターフライトをやっています。軍の訓練が主で、定期的に飛んでいるわけでないため、発着風景をなかなかとらえることができません。もっぱら旧ソ連製の双発輸送機のアントノフ An-26 (日本のYS-11より少し小さい機体)が発着しているようです。少々驚いたのは ” 複葉機 " も飛んでいることです。下の左上の写真がそれです。" 複葉機 " が全盛だったのは、第一次世界大戦の頃から1930年代初頭までかと思います。でもこの機体は旧ソ連製のアントノフAn-2という飛行機で1960年頃まで製造されていたようで、その後も東欧のいくつかの国でライセンス生産されていたようです。第一次世界大戦のころのそれとは異なって幾分近代的な機体のようです。(ちゃんと密閉キャビンになっています。)でも機齢50年以上の機体でしょうね。

  定期便はありませんので、発着の無い夏の夕方、滑走路は近所の人たちの "夕涼み " の場になっているようで、滑走路上にもの凄い人数がいることを見かけます。" ノイバイ空港 " が1986年から国際空港になったとのことですので、それまでは "ザーラム空港” が国際空港で北部ベトナムの玄関口でした。滑走路長は2,000m。その頃は、双発のプロペラ機が定期便で飛んでいた程度のようですので、十分であったかと思います。ベトナム戦争の米軍が撤退した頃、米軍の4発ジェット輸送機が "ザーラム空港” にいる写真を見たことがありますので、大型ジェット機も燃料満タンでなければ大丈夫かも知れません。ハノイ中心地至近のためその利便性から、2008年に "ザーラム空港" を民間航空の国内空港として活用しようという計画ができました。その後なかなか計画が進捗しなかったようで、そんな話題も聞かなくなっていましたが、2018年にこの計画は撤回となったそうです。ここの滑走路は、片側には " ホン川 " の高い堤防、反対側の端にはハイフォン行きの鉄道の線路。もう延長の余地はないですね。しかも堤防側から飛行機が進入してくるときは、堤防上の道路を走る車やバイクに飛行機の車輪がぶつかる勢いのギリギリの高さです。(5つ目の写真はその堤防の上から撮っていますね。)ほぼジェット旅客機ばかりとなった現在では、ここを整備しても既に限界かと思います。また2015年からは "ノイバイ空港" への道路が整備され、ここから30分で行けるようになりました。"ザラーム空港" がいくら中心地から近くても、今は民間空港として存在させる必要はないのかと思います。Google Earth からの画像を見ると、 "ザーラム空港" の滑走路や誘導路の周りの緑地帯が変な形に見えます。ここは現在ゴルフ場になりました。軍が経営しているゴルフ場です。だから空港ギリギリの土地にゴルフ場が造れるのですね。ゴルフボールが飛行機に当たりそうです。軍が経営しているからか、このゴルフ場の "キャディー" は、男性が殆どのようです。ここは街から近いのでゴルファーから注目の場所でしたが、”あそこはキャディーが男ばかりだからなぁ・・・” とぼやいている方が少なからずいました・・・。

2018年11月07日