バイク ①

バイクで溢れるハノイ市街です。

 上左の写真が2007年、その下が2014年の写真、右は2012年の写真です。2007年だけ大きく違うのはヘルメットですね。ヘルメットの着用は、2008年に義務化されました。”ハノイの街は交通ルールはどうなっているのか!” とよく言われるのですが、ヘルメットはすぐによく守られている印象でした。罰金がヘルメットの値段より2~3倍だったそうです。なるほどですね。しかも大々的に施行されましたので、警察もしっかり規制していたようです。

 それから随分経った頃、仕事でホーチミンから始めてハノイに来たベトナムの人と会いました。彼は 「ハノイはこんなにヘルメットを被っていない人がいるんですね」 と驚いていました。私はその言葉に驚きました。あらためてよく見ると、結構被っていない人がいましたね。その後、私が初めてホーチミンに行ったとき、ほぼ全員ヘルメットを被っていました。

  交通ルールのみならず、他の規制も含めてホーチミンの方が "ルールを守らせる事" をハノイよりしっかり実施されているように感じる時があります。ハノイの方がいろいろな意味で ”交渉の余地” があるという印象です。それぞれ ”西側諸国" 、"東側諸国" の一員だったところの違いということも関係するのでしょうか。

 バイクのことでもう一つ。初めてハノイに来た日本人はバイクが溢れる街の光景に圧倒されます。通勤ラッシュのみならず、平日の日中でもバイクが溢れています。 「こんなにたくさんバイクで皆どこに行くのだろう?」、 「日中からバイクで走り回って仕事はどうしているのかなぁ?」 と日本人はつい言ってしまいます。その時、日本に留学経験のあるベトナムの人が、 「東京もあんなにたくさん電車が走っていて、平日の日中でもそれなりに混んでいます。私たちも ”あんなにたくさんの人がどこに行くんだろう?”、 ”平日の日中から電車に乗って仕事はどうしているのかなぁ?”  と思いましたよ」 と。交通事故と隣り合わせのバイクでの移動、ぎゅうぎゅうに混雑した電車での移動。それぞれの状況で皆一生懸命生活しているわけで、印象だけで簡単に発言するものではないと反省しました。でもバイクでの移動は、やはり交通事故のリスクが高いですね。近年何度も死亡事故を見ました。一人一人のバイクよりも、公共交通の方がもちろん事故のリスクは小さいわけで、都市鉄道など公共交通の早期の充実を願います。

 公共交通のうち、バスについてはは比較的早く充実されました。ハノイ市のバス路線図を見ると東京都バスと同じような多岐にわたる路線、便利な運行間隔です。(ハノイ市バス路線図東京都バス路線図)しかし、 ”バスに乗るのはバイクが持てない貧乏人か田舎者” と言われていたようで、なんとなく皆乗りたがっていませんでした。(2004,5年頃に数年間、ハノイに住民登録がない人がバイクを持てないという規制があった時期がありました。交通渋滞対策でした。)最近は、安全のためにバスに乗るというはっきり言っている人も特に女性を中心に増えたような気がします。

 でも、首都の中心街のオフィスへ自家用車(バイク)で通勤し、終業後は、自家用車(バイク)で友達や恋人や家族と遊びに出かけて、そのまま自家用車(バイク)で家に帰る。東京では考えられない贅沢な生活と言ってもよいかもしれません。ですので、公共交通(特に都市鉄道)の路線が充実してこないと、なかなかバイクを降りることは出来ないかも知れません・・・。

2018年11月01日