バイク ②

ハノイの街のバイクです。

  上左の写真は、1998年のTrang Thi 通りと Ba Trieu 通りの交差点です。勿論まだヘルメットを被っていませんね。その下は2011年、場所は覚えていません・・・Hoan Kiem 湖付近と思います。右下は1998年、これもTrang Thi 通りと Ba Trieu 通りの交差点付近で、この2人はベトナム航空のCAですね。この頃ベトナム航空の乗務員は、ノイバイ空港から会社のバスでザラームにある本社まで送迎されて、そこからは、各々ユニフォームのままバイクなどで家に帰っていました。上右は2018年 Dong Xuan通りです。2輪車で何でも運ぶ技術はベトナムが世界に誇る技術ですね。半分は冗談ですが、半分は本当に凄いと思います。交通事情から仕方がないとは言え、工夫しながら大量に積んでいます。以前バイクの関連のメーカーの人に聞いたことがありますが、ベトナムではバイクの ”スタンド” の部品が修理パーツとしてもの凄く売れるのだそうです。重いものでも何でも大量に積むので、”スタンド” が曲がったりと大変痛むのだそうです。上右の写真のバイクは、到着地で誰かがいて一緒に荷物を下してくれることが前提で出発していますね。一人ではバイクにまたがった姿勢から少しも動けません。みんな普通にやっていますが、今の日本から考えるとちょっと微笑ましい風景かも知れません。

  HONDAがベトナムで生産を始めベトナム国内で売られるようになったのが1997年頃。それから約20年、街を走るバイクの様子から国の発展を感じます。公共交通が未整備なハノイで、この20年で完全に大衆の足になりました。

  数もさることながら種類もいろいろですね。2008年頃から足を揃えて乗る “スクーター型” が流行ってきました。まずみんなの憧れはイタリアの “Vespa” でしたね。“Vespa”がベトナムに工場を設立するまではUS$5,000くらいしていたかと思います。あんまり高いので、“ベスパ擬き”の車種を造るメーカーが出てきました(失礼!)。偽物ではなく “ベスパ風” の車種ということです。一時これが大流行で街でたくさん見かけました。それでもUS$3,000くらいでまだまだ“高嶺の花”でした。

  時代をもう少し前に戻してみると、1997年のちょっと前、例えばHONDAのバイク(スーパーカブを2人乗りにしたような “DreamⅡ”)はタイ製の製品が輸入されていてUS$2,400くらいと聞きました。その頃の法定最低賃金は、外資系企業で(外資系と国内企業で法定最低賃金の規定が別々でした。)VND700,000/月くらい(US$60/月くらい)でした。DreamⅡの価格は単純計算で40ヶ月分ですね。ベトナム製のHONDAのバイクが発売されてUS$1,800くらいになりました。

 2003年頃であったと思いますが、中国からHONDAのコピー(偽物)のバイクが大量に入ってきました。US$500くらいの価格であったそうです。どうやら中国がWTOに加盟するにあたって偽物の取り締まりが厳しくなり、”偽物の在庫を一掃をした” という噂です。でもの偽物製品のこと、質が良い訳はなく、使う前に調整をしないと使えないとのことで、みんな調整をしてから乗っていました。その調整にUS$300くらいの費用がかかったそうです。合計US$800、それでも随分安くバイクに乗ることができるようになり、ハノイでは急激にバイクが増えたそうです。ハノイ市に住民登録がない人はバイクを登録することができないという規制が実施されたのがこの頃でした。その後HONDAはUS$800で販売できる車種を開発しました。そしてその車種が発売され、みんな安全でコストパフォーマンスの高い製品に乗ることができるようになった訳です。2010年頃であったかと思います。現在、2018年の法定最低賃金は、VND3,980,000/月(約US$175/月)です。高校を出て働き始めたばかりの人でも、5ヶ月分くらいの給与額でバイクが買えるようになりました。日本で高校を出て働き始めた人が頑張って軽自動車を買うのと負担感が同じくらいなのかと思います。ここ20年の経済発展と技術の発展と企業努力にはとても驚かされます。

2018年11月03日